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とあるえいゆうとまじんのものがたり(水瀬)

昔々、世界を滅ぼそうとした一人の男が居ました。
闇の権化のようなその男。
世界の全てを壊す事の出来る力を持っていました。

彼は人々を殺しました。
男、女、老人、幼子問わず、目に入る人間を全て消し去っていったのです。

人々はそんな彼を止める術を持ちませんでした。
彼の力は余りに強力だったのです。

だからといって誰も何もしなかったわけではありません。
彼を討伐するために国の軍隊が動き、精鋭という精鋭が彼に刃を向けました。
ですが、ただの一度として、彼に刃が届くことはありませんでした。
人々は無力でした。

そんな中、魔人を倒すために二人の勇者が現れました。
一人は少年-アッシュ。
一人は青年-レム。
今に名を残す、英雄と呼ばれる二人です。

戦いは熾烈を極めました。
勇者たる二人の力を持ってしても、魔人を討ち倒す事は容易ではなかったのです。

勇者と魔人の戦いが終わったのはそれが始まってから丸一日経った後。
二人ともボロボロになりながらも、何とか魔法で魔人を抑える事に成功しました。

魔人も抗いました。
人を滅さんとするために。
その本能に従うために。
ですが、掛けられた魔法を解く事は出来ませんでした。
丸一日続いた戦いのせいで、魔人も力を消耗していたのでしょう。

そして魔人は封じられました。
四肢を抑えられ、感情を狩り取られた状態で。
魔人にトドメを刺す力を残していなかった二人には、これが出来うる限り精一杯の事でした。

この功績により、アッシュとレムの二人は英雄として称えられる事となり。
世界中、全ての人から崇められる事となりました。

二人はきっと、それを嫌ったのでしょう。
ある日突然、人々の前から姿を消してしまいました。
そしてそれ以後二度と、人々の前に現れる事はありませんでした。

魔人もまた、封印された時の姿のまま、今も何処かで眠り続けていると言います。
いつか、誰かが、その封印を解いてくれる事を願って。

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テリウスでの旅(木菟)

「ここは…火山?」
 黒灰の髪に紅い瞳の青年が、火口を覗き込みながら、言った。
 羽音に空を振り仰ぐと、竜が飛んでいる。
 青年もまた、黒銀の竜に化身した。
 この地域の情報を、仕入れる為に。

「どこへ行っても、戦ばかりですねぇ」
 剣戟の音に釣られて様子を見に行けば、案の定、そこは戦場だった。
 人間と人間の戦いだ。
 青年は、ウェストポーチの魔導書と、ナイフを確かめた。
 彼は一見、ベオグのセイジにしか見えなかった。

「ベオグ? ラグズ? 本当、ヒトってそういう些細な事にこだわりますよねぇ」
 青年は呆れたように笑う。
「貴方達からすれば、竜に化身し、魔法を使う僕は、さぞ滑稽に映ることでしょう」
 炎の魔法を放った彼の背には、竜の羽。
「まぁ、どこへ行っても、僕は例外のようなものでしたが……」


 元々アシュ子のサブウェポンにナイフがあるのは、こういう事も想定範囲内に入れてたからだったよねwww
トリップネタ(木菟)

レン「いてて…。これは…また、タイムスリップしたのかな」
アシュレイ「ですかねぇ…。!!」
レン「? アシュ兄?」
ラズ「……貴方は…」
レン「何だよ、こいつに何か用?」
アシュレイ「……」
ラズ「…貴方は、誰ですか? その『力』は…一体……」
レン「他人に名前を尋ねるんなら、まず自分から名乗れよな!」
アシュレイ「いえ、その必要はありませんよぅ。レン、この人はアシュレイ・アドリゲルですぅ。別名を、神々の代理人行と言いますねぇ」
レン「アシュレイ・アドリゲル? ……神軍師アシュレイ!?」
ラズ「!」
アシュレイ「最後にして最高の、純血のアデルたる貴方には、さぞかし僕が不自然に『視える』でしょうね…。僕は……僕も、アシュレイと言います。貴方の魂を継ぐ者、と言えば分かりますでしょうか。あ、こっちはレンですぅ」
レン「アシュ兄…?」
ラズ「……。ならば、自分の事は、アデルで構いませんですぅ。でも、アシュレイって名前はややこしいですねぇ」
アシュレイ「ええ、ややこしいです」
ラズ「貴方の事は、アウロラと呼んでも構わないでしょうかぁ? 暁の瞳を持つ、アデルの末裔よ」
アシュレイ「ええ、仕方ないですねぇ」
レン「ちょ、タンマ! 何であんたら、そんなに話が進むんだよ!? ってか、アデルって、何!?」
ラズ「……貴方はまだ幸せですか、アウロラ」
アシュレイ「ええ、僕は幸せですよぅ?」
レン「俺の事、無視!?」
魔王と約束した勇者の話。メモ(木菟)

 黒灰の髪に、紅い瞳の少年が、物憂げにスケッチの書き散らされた羊皮紙を眺めていた。
「……ねぇ、レン」
 彼に声を掛けられて、ワインレッドの髪に漆黒の瞳の少年が「何だ?」と返事をする。
「もし僕が人外魔境の地に引き篭もってしまったとしたら、それでも君は僕に会いに来てくれますか」
「アシュ兄、どうしたのさ?」
 唐突に変な事を言い出した相手を訝るようなその声音に、アシュ兄と呼ばれた少年は苦笑した。
「ああ、何でもないんですぅ。今のは忘れて下さいな」

 絶望した魔王が、牙城の奥深く、引き篭もった。
 領主たちは触れを出す。魔王を退治する勇者を求む、と。
 黒灰の髪に紅い瞳を持つ魔王。絶大なる魔力を操り、ドラゴンさえも従えて。
 魔王の潜むその居城には、それは高価な宝が眠るという。
 だが魔王の城に挑んで、未だ生還した者はいない。

 ワインレッドの髪に漆黒の瞳。
 凄腕の剣士が、魔王の噂を聞いた。

 ついに魔王の城を攻略した者が現れる。
 人は彼を勇者と称えた。
 勇者は、魔王をその居城から引きずり出した。

 さて、この物語。どこまでが本当で、どこからが後世の捏造?
“ヴェラン”

シャナ「…誰!?」
男「………」
レン「お客さん?それにしては…」
アシュレイ「あ、お父さま。お帰りなさいませー」
レイヴン「ああ、ただいま、アシュレイ。シャナとレンも」
シャナ「え、パパだったの!?」
レイヴン「そうだよ。お前等がいつ気付くのかと思ってたんだが…」
レン「気付かないって!いつもと雰囲気違いすぎだし…」
レイヴン「…修行が足りないな、レン。これくらいの変装は見破れるようにしておくんだぞ?」
ヴァイス「あ、父さん帰ってきてたんだ」
レイヴン「ついさっきな。…どうした?」
ヴァイス「…いや、久々にそのカッコ見たなって思ってさ」
レイヴン「……そうか?」
ヴァイス「うん。ま、見れたからって嬉しいもんでもないけど。…さっさと着替えてきてよ」
レイヴン「………解ったよ。ああ、それから…アシュレイ。これお土産な」
アシュレイ「あ、ありがとうございますぅ」
シャナ「え、何でアシュレイにだけ!?」
レン「えこひいきだーっ!!」
レイヴン「はいはい。ヴァイス、あいつ等の相手は任せた」
ヴァイス「は!?」
レイヴン「じゃあな」

残したモノ、残されたモノ(水瀬)

アシュレイへ


んー…。
これを読んでるっていう事は、君に見付かっちゃったって事だね。
見付けないでほしかったんだけどなぁ。

君がこれを見付けるための鍵は3つあったんだ。
1つ、僕が死んでる事。
2つ、レイヴンが死んでる事。
3つ、レイヴンの力を継いだ君が、未練がましく此処に戻ってくる事。

思い出の中に浸りたい気持ちも解るけど…そんな事じゃダメだよ?
君が此処に戻ってくるっていう事は、過去を過去に出来てないって事なんだからさ。

…小言はこれくらいにしておこうか。
そして本題。

この未完成の魔導書は君へのプレゼント。
使うも、完成させるも、破棄するも、全ては君次第。
あ、効果は使ってみてのお楽しみだよ?
未完成っていっても、使えないっていう意味での未完成じゃないから。

もし使えば、君の望みを叶えてくれる。
此処に戻ってくる君の望みを…ね。

どんな選択をしても、それは君の決定だから非難はしないよ。
でも、軽蔑はするかな。
そういう魔法だから。

僕が言いたいのはこれくらいかな。
じゃあね、アシュレイ。

いつまでも元気でね。

Re-another- Episodes2(木菟)

「…ねぇ、レン。あたし達、何か忘れてるような気がしない?」
「やっぱ姉ちゃんもそう思う?」
「なになに、何の話ー?」
「「!!」」
「お姉ちゃんも、レン君も、どうしてそんなにびっくりするの? 僕、何かした?」
「な…何でもないわよ! アシュレイこそ、何の用事よ」
「そう? そろそろおやつの時間だから、呼びに来ただけなんだけど……。僕、先に行ってるね」
「……」
「……アシュ兄が何となく怖いのは、俺の気のせいかな」
「レンもそう思う? アシュレイはあたし達がいないと何もできない子の筈なのに…何で怖いとか思うんだろ…」

「アシュレイ」
「なぁに? パパ」
「お前……。いや、何でもない。行っていいぞ」
「パパ。何があっても、『私』はパパを大事にするからね!」
「……」
「え、おやつくれるんじゃなかったのか~…。わかった、部屋で遊んでくる! じゃあね、パパ!」

「……さて、この夢は、いつまで続くのだろう?」
「そもそもこれは、本当に、夢だと言えるのか?」
「さぁ。最近、自信がなくなってきた。でも、今更何かが変わる訳でもないし…私がアデルの記憶と能力を全て継いでいるとは、きっと誰も思わないだろう。私はアシュレイ・ナイトハートであり、神軍師アシュレイとは別人だと、思われ続けるだろう。表で指揮を執ろうとは、思ってないしね。今更言いだせることでもない」
「そろそろ勘のいい奴は気付いているかもしれないぞ」
「気付かれたって、証拠を突き止めない限りは、聞いてこないと思う。そしてその確定的証拠は、果たしてそこらに転がっているものなのか? 私を縛るただ一つの名前を、彼が口に出して聞いてこない限りは、私は明言は避けるだろう。そうかもしれない、でもそうでないかもしれない事を、勘のいい人がわざわざ訊ねに来るかな?」
「……性格悪いな」
「誰かさんのおかげでね」
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