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レン「いてて…。これは…また、タイムスリップしたのかな」
アシュレイ「ですかねぇ…。!!」 レン「? アシュ兄?」 ラズ「……貴方は…」 レン「何だよ、こいつに何か用?」 アシュレイ「……」 ラズ「…貴方は、誰ですか? その『力』は…一体……」 レン「他人に名前を尋ねるんなら、まず自分から名乗れよな!」 アシュレイ「いえ、その必要はありませんよぅ。レン、この人はアシュレイ・アドリゲルですぅ。別名を、神々の代理人行と言いますねぇ」 レン「アシュレイ・アドリゲル? ……神軍師アシュレイ!?」 ラズ「!」 アシュレイ「最後にして最高の、純血のアデルたる貴方には、さぞかし僕が不自然に『視える』でしょうね…。僕は……僕も、アシュレイと言います。貴方の魂を継ぐ者、と言えば分かりますでしょうか。あ、こっちはレンですぅ」 レン「アシュ兄…?」 ラズ「……。ならば、自分の事は、アデルで構いませんですぅ。でも、アシュレイって名前はややこしいですねぇ」 アシュレイ「ええ、ややこしいです」 ラズ「貴方の事は、アウロラと呼んでも構わないでしょうかぁ? 暁の瞳を持つ、アデルの末裔よ」 アシュレイ「ええ、仕方ないですねぇ」 レン「ちょ、タンマ! 何であんたら、そんなに話が進むんだよ!? ってか、アデルって、何!?」 ラズ「……貴方はまだ幸せですか、アウロラ」 アシュレイ「ええ、僕は幸せですよぅ?」 レン「俺の事、無視!?」 PR 黒灰の髪に、紅い瞳の少年が、物憂げにスケッチの書き散らされた羊皮紙を眺めていた。
「……ねぇ、レン」 彼に声を掛けられて、ワインレッドの髪に漆黒の瞳の少年が「何だ?」と返事をする。 「もし僕が人外魔境の地に引き篭もってしまったとしたら、それでも君は僕に会いに来てくれますか」 「アシュ兄、どうしたのさ?」 唐突に変な事を言い出した相手を訝るようなその声音に、アシュ兄と呼ばれた少年は苦笑した。 「ああ、何でもないんですぅ。今のは忘れて下さいな」 絶望した魔王が、牙城の奥深く、引き篭もった。 領主たちは触れを出す。魔王を退治する勇者を求む、と。 黒灰の髪に紅い瞳を持つ魔王。絶大なる魔力を操り、ドラゴンさえも従えて。 魔王の潜むその居城には、それは高価な宝が眠るという。 だが魔王の城に挑んで、未だ生還した者はいない。 ワインレッドの髪に漆黒の瞳。 凄腕の剣士が、魔王の噂を聞いた。 ついに魔王の城を攻略した者が現れる。 人は彼を勇者と称えた。 勇者は、魔王をその居城から引きずり出した。 さて、この物語。どこまでが本当で、どこからが後世の捏造? シャナ「…誰!?」
男「………」 レン「お客さん?それにしては…」 アシュレイ「あ、お父さま。お帰りなさいませー」 レイヴン「ああ、ただいま、アシュレイ。シャナとレンも」 シャナ「え、パパだったの!?」 レイヴン「そうだよ。お前等がいつ気付くのかと思ってたんだが…」 レン「気付かないって!いつもと雰囲気違いすぎだし…」 レイヴン「…修行が足りないな、レン。これくらいの変装は見破れるようにしておくんだぞ?」 ヴァイス「あ、父さん帰ってきてたんだ」 レイヴン「ついさっきな。…どうした?」 ヴァイス「…いや、久々にそのカッコ見たなって思ってさ」 レイヴン「……そうか?」 ヴァイス「うん。ま、見れたからって嬉しいもんでもないけど。…さっさと着替えてきてよ」 レイヴン「………解ったよ。ああ、それから…アシュレイ。これお土産な」 アシュレイ「あ、ありがとうございますぅ」 シャナ「え、何でアシュレイにだけ!?」 レン「えこひいきだーっ!!」 レイヴン「はいはい。ヴァイス、あいつ等の相手は任せた」 ヴァイス「は!?」 レイヴン「じゃあな」 アシュレイへ
んー…。 これを読んでるっていう事は、君に見付かっちゃったって事だね。 見付けないでほしかったんだけどなぁ。 君がこれを見付けるための鍵は3つあったんだ。 1つ、僕が死んでる事。 2つ、レイヴンが死んでる事。 3つ、レイヴンの力を継いだ君が、未練がましく此処に戻ってくる事。 思い出の中に浸りたい気持ちも解るけど…そんな事じゃダメだよ? 君が此処に戻ってくるっていう事は、過去を過去に出来てないって事なんだからさ。 …小言はこれくらいにしておこうか。 そして本題。 この未完成の魔導書は君へのプレゼント。 使うも、完成させるも、破棄するも、全ては君次第。 あ、効果は使ってみてのお楽しみだよ? 未完成っていっても、使えないっていう意味での未完成じゃないから。 もし使えば、君の望みを叶えてくれる。 此処に戻ってくる君の望みを…ね。 どんな選択をしても、それは君の決定だから非難はしないよ。 でも、軽蔑はするかな。 そういう魔法だから。 僕が言いたいのはこれくらいかな。 じゃあね、アシュレイ。 いつまでも元気でね。 「…ねぇ、レン。あたし達、何か忘れてるような気がしない?」
「やっぱ姉ちゃんもそう思う?」 「なになに、何の話ー?」 「「!!」」 「お姉ちゃんも、レン君も、どうしてそんなにびっくりするの? 僕、何かした?」 「な…何でもないわよ! アシュレイこそ、何の用事よ」 「そう? そろそろおやつの時間だから、呼びに来ただけなんだけど……。僕、先に行ってるね」 「……」 「……アシュ兄が何となく怖いのは、俺の気のせいかな」 「レンもそう思う? アシュレイはあたし達がいないと何もできない子の筈なのに…何で怖いとか思うんだろ…」 「アシュレイ」 「なぁに? パパ」 「お前……。いや、何でもない。行っていいぞ」 「パパ。何があっても、『私』はパパを大事にするからね!」 「……」 「え、おやつくれるんじゃなかったのか~…。わかった、部屋で遊んでくる! じゃあね、パパ!」 「……さて、この夢は、いつまで続くのだろう?」 「そもそもこれは、本当に、夢だと言えるのか?」 「さぁ。最近、自信がなくなってきた。でも、今更何かが変わる訳でもないし…私がアデルの記憶と能力を全て継いでいるとは、きっと誰も思わないだろう。私はアシュレイ・ナイトハートであり、神軍師アシュレイとは別人だと、思われ続けるだろう。表で指揮を執ろうとは、思ってないしね。今更言いだせることでもない」 「そろそろ勘のいい奴は気付いているかもしれないぞ」 「気付かれたって、証拠を突き止めない限りは、聞いてこないと思う。そしてその確定的証拠は、果たしてそこらに転がっているものなのか? 私を縛るただ一つの名前を、彼が口に出して聞いてこない限りは、私は明言は避けるだろう。そうかもしれない、でもそうでないかもしれない事を、勘のいい人がわざわざ訊ねに来るかな?」 「……性格悪いな」 「誰かさんのおかげでね」 「アシュレイ、手合せしよっ!」
「あ、姉ちゃんばっかりずるいぞ! 俺だってアシュ兄とやりたいのに!」 「お姉ちゃんもレン君も、手合せ好きだねー」 「アシュレイ、おかしな事言うのね。普通、強くなりたいじゃない?」 「だよなー。父さんやクロス兄みたいにさ、強くなれたらカッコいいじゃん? アシュ兄は強くなりたくないの?」 「僕は、別に興味ないな……。別に僕がこれ以上強くならなくたって、僕の家族が束になったら敵なしだもん。僕が出るまでもないっていうか。むしろお姉ちゃんたちが足を引っ張らないか心配だったり……」 「な……何ですってー! アシュレイの癖に! あたしにだって勝てた事ない癖に!」 「僕は身の程を弁えてるよ? でも、お姉ちゃん、何も考えてないじゃない。戦う事ばっかりで、馬鹿みたい。いつかそれで、身を滅ぼすと思うな。レン君もそれは同じ。いや……レン君の方が、早死にするかもね。何かあれば手合せ、手合せ……。誰も彼もが手加減してくれるのを自分の実力と勘違いしてるようじゃ、ただの素人より馬鹿だ」 「アシュ兄、今日はやけに不機嫌だな」 「そう? そう思いたいなら、そう思っといて。僕は、忠告はしたよ? んじゃあね」 「ちょ、アシュレイ、待ちなさ……きゃっ!?」 「うわっ! 何だこの風! あ、アシュ兄いなくなってる!」 「アシュレイ、お出かけ?」 「あ、ママ。うん、ちょっとお届けもの。夕ご飯までには帰ってくるから……」 「お届け物……? 誰の?」 「綺麗な金色の髪のお兄ちゃんに頼まれたのー」 「……そんなお客さん、来てないわよね?」 「ごめんなさい。これ以上はパパにもママにも内緒って言われてるのー」 「人質って発想は偉いと思いますよ~。でもね、いくら馬鹿でも、その子達は一応私の家族ですからねぇ……。そちらがそのつもりならば、先に手を打たせていただきますねぇ」 「ふんっ、わざわざ自分から捕まりに来たか!」 「くすくす……。私の夢を邪魔するのであれば、容赦はしませんよぉ? 私をただのアシュレイ・ナイトハートだと侮ったのが、貴方達の敗因でしょうね。帰ってボスに伝言を、何て高望みは致しません。貴方みたいな馬鹿に伝言を頼むだけ、労力の無駄です。それよりも私が後でボスを直接潰した方が、ずっと手っ取り早い」 「……アシュレイ?」 「ああ、お馬鹿なお姉さま。ちゃんと、後でこの記憶は消して差し上げますから、ご心配なく」 「何でアシュ兄が来るんだよ!」 「心外ですねぇ、レン様。私が誰だかご存知ないから、今の発言は大目に見てあげますが、貴方はやはり見る目がないようだ。……さて、いつまでそこで呆けているつもりですか」 「……へ?」 「!! え……。死んでる……? 山賊が?」 「私がいつ手を出したかにすら気付かないようなあなた方が、手加減にすら気付けないあなた方が私を馬鹿にするのを聞いているのは、馬鹿馬鹿しさを通り越していっそ喜劇でしたねぇ。さて、私はまだこれからボスを殺しに行く用事が残ってますので、取り敢えず記憶だけ頂きますねぇ」 「……化け物!」 「ええ、化け物ですよ? 私はいつだって出来損ないで、半端モノで、普通に死ぬことさえ許されなかった。だから、消滅の直前に見ているこの夢でくらい、好き勝手にしてたって罰は当たるまいと思っているのです」 「ちょっと待った! 消滅するの!?」 「私は作り主に廃棄処分を下され、存在ごと消し飛ばされた筈の人形ですからねぇ。よくここまで夢が続いているなぁと感心はしているのですが」 これは夢だと分かっていたから、自分はそれを安心して見ていられた。
勿論、最初は混乱した。自分は存在ごと消された筈で、だから何かを見ているなんてありえない訳で、ましてやこの場にはまかり間違ってもいない筈で。だけど。 この場にはレイヴンがいる。そして、彼の家族がいるようだ。 所詮、これは夢なのだ。恐らくは、自分が完全に消える前に見ている、うたたかの夢。自分の儚い妄想。希望。 もしかしたら、リュージュ辺りが憐れみを掛けてくれたのだろう。せめて最期くらい、好き勝手にすれば良いと。 だから、これは、夢なのだ。 証拠にほら、【力】を使わなければ、何もはっきりとは見えない、聞こえない。 『アシュレイ、不思議な子ね』 『ああ、恐ろしく気配に敏感だな。誰かが家に近付けば、真っ先に気付いて泣き出す』 『それと、寝る前もね』 『……ああ』 この夢はいつまで続くのだろう。 夢を終わらせたくなくて、眠るのは、嫌だった。自分にとっての眠りは、常に永眠と隣り合わせだ。 気付いた事がある。この夢では、自分はレイヴンとソフィアの息子らしい。そして、シャナという名の姉がいるようだ。 「ほら、アシュレイ! 遊びに行くよ!」 「ええ!!? また行くの、お姉ちゃん!? もう暗いよ……?」 人生をやり直せたら、レイヴンみたいな父親が欲しかった。それは叶う筈のない願いだったからこそ、今のこれが夢だと教えてくれる。 今度こそ、望まれたように……。せめて周りの人を、絶望させないように。 その為なら。 『おい、あそこだよな』 『ああ、神軍師ソフィアの今の家……』 「……邪魔はしないで下さいねぇ?」 「!?」 「せっかくの私の夢なんです。今度こそ、私の好いた相手に、むざむざ手を出させはしない。それにしても、私はこんなイベントは望まなかった筈ですが……フェイ辺りが、気付いてちょっかいかけてきてるんですかねぇ」 『……谷底に、傭兵の死体?』 「アシュレイ」 その名で呼ばれるのは……。 | カレンダー
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